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最近テレビで種から植物を、育ててる人をみたのですが、それってホントに可能なんですか
シダ植物やコケ植物、藻類などは種子がないので無理ですが、それ以外のすべての植物(種子植物)はもちろん種から育てられますよ。
難易度の差はありますが。
すべて種から育ったものですから。
原生林や人の手の入っていない場所に生える木のほとんどは種から育っています。特に原生林では寿命や台風などで倒れ朽ちかけた大木の上に落ちた種は土に落ちてしまった同種の木の種よりも何倍も発芽しやすくて運よく倒木に落ちた種は朽ちた倒木を培地に養分を吸収してにして根を張って大きくなっていき、いずれは大木になって倒れると新たな種の培地になるという、「倒木更新」という凄いスケールの現象があります
木の増殖の基本は種で増える事です。種で増えると遺伝子の多様性で1本1本は親の木からいろんな性質を貰うので、同じ病気にかかっても必ず生き残って子孫を残せる様になっています
反対に人間が木を増殖する時に使う手法の挿し木や接ぎ木というのは、同じ木から複数本枝を切って挿し穂や接ぎ穂に使い殖やします(栄養増殖もこの一種)。これは同一の性質をもった木を沢山殖やしやすい(遺伝子的にはクローン、人間では一卵性の双子などと同じ)成熟した枝を使うので、種を蒔いて生える実生苗木よりも数年は確実に早く成長していくなど人間の都合を優先させて殖やせます。特に果樹では同じ大きさ・同じ味のものが沢山採れるので、人間の利用する木というのは挿し木や接ぎ木で殖やすものが多くなりました(ただし、どうしても実生でなければ殖えないものもあります)
ただ、挿し木や接ぎ木は元々が同じ一本の木ですから病気が移りやすく病気に対する耐性が同じなので全滅しやすいのが欠点です
実生で殖やした木と言うのは木の育ち方、花や実の美しさ大きさ・美味しさはばらばらですが(人間で言えば両親が同じ兄弟で、似てはいるが性格や体格・体質が違う)、もしどれかに病気が付いても病気が広がりにくく必ず生き残るのがあるのが優れた点です
そのため、人間が利用する木(特に観賞用の木や果樹)は挿し木や接ぎ木での増殖が当たり前になり、それらでは実生で殖やす事が稀になっただけの話です。ただし従来のものより優れたものが作りたくて品種改良する時には人間が考えた品種同士の組み合わせで人工的に掛け合わせて種を蒔き、それの育った木や更にその子や孫にあたる木にまた違う品種を掛け合わせて優れた品種を作る事が試みられます
普通は一度人間が改良した木の自家受粉させた(自家受粉出来なければ相性の良い品種と受粉)種から育てるとその種が育った木は人間から見ると劣っている性質のものが多く出来やすいのですが、遠い系統を交配すると優れたものが出る確率が高くなります。近縁種や遠い系統・異種交配で出来た一代目の植物はF1(一代交配)と呼ばれ野菜や花の種に書かれている事があり、人間に例えれば人種が違う両親の間に生まれる子(ハーフとかダブルと呼ばれます)には両親にはなかった何かしらの優れた点が強く出ると言われます
例えばリンゴや果物のイチゴは近縁種の植物との交配を元に種が作られ蒔いて殖やされた「人間によって意図的に作られた植物」で、まず人為的に交配させて出来た種から作られた自然界では出来ないはずの木です。リンゴは複数の近縁種の交配で作られたもので、リンゴそのものの原種というのは自然界に存在しませんし、今では普通に見られるイチゴ(オランダイチゴ)の場合はヨーロッパのワイルドストロベリーと南米の近縁種が人間によって交配されたことにより従来の何倍も実が大きくなった交配種が元に作られ、オランダイチゴの原種と言うのは存在しませんし、最近よく見られるピンクや赤い花のイチゴというのは、ポテンティラというイチゴに近い異種(花が似ているが果肉が出来ない植物)が掛け合わされて作られました。イチゴの改良では日本ではランナーの出来る系統の品種がほとんどですが欧米ではランナーの出ない品種も多く、それらは長い間に品種が固定化されていて種で殖やすか株分けでしか殖やせません。ただ、植物によっては(動物でもそうですが)異種交配すると出来た植物には種が出来なくなる(不稔)ものがあり、それらは利用価値があるなら挿し木や接ぎ木で殖やされます。そういうのを殖やす目的から挿し木や接ぎ木の技術が出来たのが最初で、やっていくうちに挿し木や接ぎ木の優れた点が発見され今では挿し木や接ぎ木苗が当たり前になったのでしょう
ただし、過去にはリンゴや梨など隠れた遺伝子が時々現れる事はあり、人間が食べた後にゴミとして捨てられた食べカスの種から育った木が従来になく優れた実を成らせて品種になったというものもあるので、ほとんどは劣ったものが多く出るけれども遺伝子の組み合わせ次第では今までになく優れたものが出る事もあります。実生から木を育てるという作業は今でも品種改良の為には欠かせないもので、成長が遅いため果樹などでは種を蒔いてから新品種として発表できるまでには10年以上かかるものが多いです。北海道米などの稲の改良では性質の固定化年数を短縮して出来るだけ早く新品種を作るために、秋に採れた稲モミを北海道から沖縄に送って沖縄で育ててもらい、沖縄で出来た稲モミをまた北海道で作って・・・などと少しでも早く性質を固定できるように年数を短縮する工夫をするためお金をかけて種まきを繰り返している場合もありますよ
種から木が育つと言うのは、木など植物にとって一番自然な殖え方で時間はかかるものの自然界では自分の子孫を確実に生き残らせ繁栄させる為には当たり前な事なんですよ
木の種は乾かすと枯れでしまうものもあるので、木毎に性質を充分に知って種まきをやらなければなりません
たとえばドングリの1種のコナラは熟して落ちるとすぐに根が伸び出し、冬の間に10cm以上に伸びて水分を吸い上げ、春の芽出しに備えます。このドングリを冬の間乾かしておくと枯れてしまいます。
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