積雪地方の秋の種まき(秋まき)時期|育て方 Q&A
※写真は、ニゲラです。
育て方 Q&A
積雪地方の秋まき時期について 投稿者:mitune 投稿日:2015/08/18(Tue) 16:08
いつもお世話になってます。先日こちらの交換掲示板で秋まきの花の種子を譲って頂けることになったのでいろいろと調べていたのですが、秋に種を撒いて育てた苗は冬の積雪時期はどのように管理するのでしょうか? 頂く予定なのはニゲラ、ラークスパー、虞美人草で全て耐寒性が強いので春まで待たず到着したらすぐに育て始めようと思っています(最近の気温は最高が23〜27℃、最低が18〜20℃程度)
庭があるので雪の積もる場所に置いて春まで雪の下に埋めておく。室内に取り込む(玄関でしたら冬は5〜10度℃) この位しか浮かばないのですが…。
雪国ガーデナーの方はどうしてるんでしょうか?教えて下さい!
Re: 積雪地方の秋まき時期について 投稿者:ふら 投稿日:2015/08/20(Thu) 17:51
雪国の方の書き込みがあるかと思っていましたが、今のところありませんね。関東在住の私の書き込みで恐縮ですが・・・雪国の方の書き込みがあるまでのつなぎに。
これらの植物は雪国では春まきにすることが多いのではないでしょうか。秋まきでも、雪に埋もれて越冬すれば温度的には問題ないでしょうが、つぶれてしまう可能性があるでしょう。 玄関でも日照が十分にあって、あまり温度が上がらなければ冬越しするかもしれませんが、普通は日照不足で弱ってしまうのではないかと思います。
Re^2: 積雪地方の秋まき時期について 投稿者:mitune 投稿日:2015/08/21(Fri) 19:07
玄関には窓がありますが改めて観察してみると植物を置くには薄暗い気がします、やはり春になってからが安全ですね。 ただ雪の下であれば温度的には問題ないという事は雪囲いがあれば大丈夫かもしれない…?デルフィニュウムの種を自家採取したので半分を秋撒きして残りは来春にして実験してみようかと思います。
そもそも発芽させられるか解りませんが…;
雪国の方がいらっしゃったら引き続きよろしくお願いします。ふらさんお返事ありがとうございました!
Re^3: 積雪地方の秋まき時期について 投稿者:ばんざいうさぎ 投稿日:2015/09/02(Wed) 15:19
mituneこんにちは。まだご覧になられているでしょうか。 北海道のオホーツク管内の海に近い街に住んでいます。北海道では一年草や二年草の場合は秋の種子蒔きはあまり行いません。
基本的に耐寒性が良いと言われていても苗の状態では屋外では冬越し出来ず寒さで枯れてしまいます。二年草の場合でも一年目春に種子蒔きし株を育てて大きくし、それの地上部は冬に枯れてしまいますが根だけが地中で越冬し、翌春に芽が出てきて草丈が伸び蕾が付いて咲きます。夏を越して育った株が越冬できるので耐寒性があると書かれるのかもしれませんが、秋に種子蒔きし株が小さいうちは耐寒性がありません。
私の場合は過去に虞美人草とニゲラを実際栽培していましたが、どちらも種子は春蒔きで、秋には種子が出来ると自然に枯れてしまう生育サイクルなので実質北海道での耐寒性はゼロです。
ただ、虞美人草とニゲラはこぼれ種子でも芽が出るので秋に成ると気温など条件が良ければ植えていた近くに一人生えが沢山出てきて育つこともあるのですが、大抵は霜で萎れて枯れるか、運よく雪が積もるまで生きていても翌春雪が溶ければ跡形なく消えており苗のまま冬は越したことはありません・・・。
宿根草の苗でさえも似た状況で秋に一人生えした苗は生き残らない事が多いので、基本北海道での種子蒔きは春蒔きがほとんどです。春蒔きでも植物によって発芽条件の温度帯はいろいろなので中には本来は熱帯原産とか開花が晩生の品種などで、屋外の気温が発芽・育成温度に成るまで待つと生育・開花が間に合わないなどの理由で、早春から室内で種子を蒔いて育苗する場合もあります。 野菜だとトマトの種子蒔きは室内の窓辺などで2〜3月から。
室内では無いのですが農家だとタマネギやビート栽培は1月末に除雪して育苗専用ビニールハウスの骨にビニールを張り土を乾燥させて、外はまだ雪深く厳冬の2〜3月に内部にビニールトンネルを二重に設置し作った苗床に種子を蒔きビニールハウス専用暖房を入れて育苗(昔はビニールトンネルの上に夜間だけ古毛布を二重がけして保温)。それをゴールデンウィーク頃畑へ定植します。
室内蒔きだと置く場所の温度を一定温度に保ち続けるのが難しく(温度の変動があると発芽しにくい)北海道の室内は乾きすぎますし二重窓のガラスを通してはどうしても日照不足気味で徒長しがちなので、「育苗用フラコンケース」を使用したり(外が少し暖かくなったら日中だけケースごと屋外の日の当たる場所に置ける)、もし金銭的に可能ならヒーターと植物用の育成灯が最初から付いているカバー付き育苗ケース(育苗器)があると、苗の育ちがかなり違います。
ただ、植物によっては発芽条件に「地中の中で一定温度の寒さに一定期間当てる」と言う物もあり(種子を完全に乾燥させることにより休眠のスイッチが入り、好条件に合わない限り休眠しつづける)自家採取種子だと寒さに当てる必要があったり、野生種だとこの性質を持つ物が結構多いです。
種苗会社で売られている種子なら大抵すでに処理済みで大丈夫な物が多いのですが、お譲りいただいたり自分の所で採取した種子を寒さに当てず春に蒔いてしまうと、その年の春には発芽しない物もあります・・・。種子の寿命が長めの種子だと土さえ乾かさずに置いておけば翌春になってから生えたり数年経ってから生えてくることもあります。でも種子の寿命が短い物だと生えずに終わるものも・・・。特にセリ科やネギ(アリウム)の仲間の種子は寿命が短いです。
自家採取種子の休眠打破にはジベレリンによる休眠打破処理で強制的に目覚めさせる方法もありますが、中には休眠が深くてジベレリンでも目覚めさせられない物があり、人為的な「寒さによる休眠打破」というのもなかなか難しいものです。
湿らせた種子を冷蔵庫に入れる方法がありますが(乾燥した種子のままでは休眠打破の効果はなく、ただ種子を保存してるだけ)長期間湿らせたままの保存なので途中でカビが生えて種子がダメになったり、入れ物に密閉しておいて窒息させてしまい種子がダメになったり・・・。理想的なのは鉢に土を入れ種子を蒔き水を与え鉢ごと冷蔵庫の中に入れておき、時々扉を開け通気、なおかつ冷蔵庫内は乾燥するので適度な湿度を常時保ち続けること。でも不衛生になるので家庭の冷蔵庫には入れられませんよね・・・。新しいのに買い替えもう使わなくなった古い冷蔵庫や、中古の冷蔵庫でも買ってきて休眠打破専用に使うのでもない限り無理かと思いますが庫内の空気の湿度を常時保っておくと言う本来の使い方ではないので密閉性も無いので冷蔵庫の故障に繋がるかもしれません・・・。
なので、こういう性質を持つ類の種子だと、春蒔き以外の時期(種類・場合によっては秋蒔き)に種子蒔きする事もあります。
この場合、一度乾燥させてしまっている種子だと翌春の発芽率は良くないのでいただきものの種子では難しいです。一度乾燥させてしまうと大方の種子が休眠してしまうので(年単位で発芽をずらして全滅を防いでいる)、翌春生えてくる数は少なくなりがち・・・。
それで、「自分の所で採れる種子」なのが条件ですが発芽条件に「寒さに当てる事」が含まれる植物の種子の場合は「採り蒔き」が一番良いです。
季節限らず(早ければ初夏)植物の実がほぼ熟してきて(実の緑が抜けてきて黄色っぽくなり、実がまだ割れたりしていなくても実を振れば中で種子がぶつかる音がする等)中から出してみた種子熟した色になっていたら、種子が乾燥しないうちに採ったその場であらかじめ用意しておいた蒔き床に種子蒔きしてしまいます。
こうすると地中で種子は一度も乾燥せずにいられて、もし採種時にすでに乾いていたとしても乾燥途中か休眠スィッチが入るまでに猶予があるのか、乾かさない様に気を付け水やりしておくと冬を越し翌春に成ればかなりの確率で種子が発芽してくれ休眠してしまう種子の数を減らすことが出来ます。
我が家だと野生種のスミレとクリスマスローズの種子蒔き時は必ず行います。
私が大好きで沢山栽培している中で種子蒔きが一番気難しいのはニオイスミレです。種子を乾燥させると休眠が深すぎて普通に蒔いては発芽せず、野生種のスミレのほとんどで発芽が成功するジベレリン処理でさえも打破出来ず、ニオイスミレを種子から殖やす場合は必ず採り蒔きです。
この花は外国では改良の歴史が古くて遺伝子が複雑。固定化済み品種以外は咲いた花の実から採れた種子を育てると違う色の花が咲く確率が高く複数の品種があれば交雑もしやすいので花は見ごろが過ぎれば全て摘んでしまいます。後で根元に丸い閉鎖花の実が成るので、それから採れた種子(親とほぼ同じ性質を受け継ぐ)を採り、すぐに蒔いておけば翌春の発芽率がかなり良くなります。一人生えもしますが、我が家だと交雑個体が出やすく観賞価値が無いので、品種の特徴の維持管理の意味あいからも採り蒔きの方が都合が良いです。
結局は「植物の種類によって蒔き時は違う」のですけど、北海道だと一年草に限れば「全て春蒔き」と言って良いでしょう。パンジー・ビオラは本州ならこれから種子を蒔く事が多いですが、北海道では春に蒔きます。それでどうしても開花は遅れてしまい初夏頃からになるので、この類を楽しむならまず苗を店から買って春早くから楽しみつつ(春早くは夜は玄関・室内に取り込む)、種子を北海道の蒔き時に蒔いて育苗すると夏は冷涼な北海道なら長く開花を楽しめます。我が家の庭でも現在まだ咲いていますよ。そして北海道だとパンジー・ビオラには越冬するものもあり宿根化し何年も楽しめますよ。
特に種子を蒔くなら日本で改良している品種(特にF1品種はその株限りで。自家採取種子で殖やすと花色が劣化し観賞価値なし)を選ぶよりも、外国で改良した品種の方が宿根化しやすく性質が固定化されている物が多いので代々種子で殖やしても花色の変わらない物が多いです。
Re^4: 積雪地方の秋まき時期について 投稿者:mitune 投稿日:2015/09/04(Fri) 09:51
ばんざいうさぎ様
こんなに詳しく教えて頂いてありがとうございます!
ネットで調べたり本を見ても解らない事が色々あったので助かりました、○○するとよいと書いてあっても理由が解らないので応用ができなかったので理由まで教えて頂いて勉強になりました。
このまま文章を保存しておきます!
・一度乾かしてしまった種は春に撒く、しかし発芽率が落ちてしまう。
・寒さに当てる必要がある種は採ったらすぐ土に埋めて春まで乾かさない。
・寒さが必要ない種子は採ったら乾燥させて保管し翌春に撒く(という事で大丈夫でしょうか)
クリスマスローズ、デルフィニウム、スミレを育てていますがこれらは採り蒔きが良い。
種を頂いたニゲラや虞美人草、他にもシノグロッサムなどを育てていますが寒さに当てる必要がないので採り蒔きするとすぐに発芽してしまい冬に全滅するという事ですよね?
そう言えば育てているスミレ(紫式部)はあまりに沢山種ができるので放置しているのですが翌春になればあちこちから芽が出て育っています。
勝手に採り蒔き状態になっていたのですね。
休眠スイッチに関して全然知らなかったので、寒さに当てるだけではなく水分も同時に与えないといけないことや、育苗器の存在などなどとても勉強になりました!
とても丁寧な回答ありがとうございます。
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